interview

秘密基地をコンセプトにファンの好きを育む

おとどちゃん

マスコット・キャラクター
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秘密基地をコンセプトにファンの好きを育む
おとどちゃん
マスコット・キャラクター

2024年12月に公式ファンクラブ「おとどちゃんのファンクラブ」を開設した、高知県の桂浜水族館(以下、ハマスイ)。歯に衣着せぬ発言で注目を集める同館のマスコットキャラクター・おとどちゃんをはじめ、スタッフが一丸となって運営するファンクラブは、全国各地のファンの心をつかんでいます。

開設の背景にはSNSでの「誹謗中傷」に対する葛藤も。これまでの経緯と今後の展望についてハマスイで広報を担当する森香央理さん、弊社 山中享汰に語り合ってもらいました。

オープンなSNSとは異なる「ファンのみなさんが安心して楽しめる場所」を

――ハマスイの公式ファンクラブ「おとどちゃんのファンクラブ」を設立された背景は?

山中享汰(以下、山中):きっかけは僕でしたよね。テレビ番組『月曜から夜ふかし』で取り上げられていたのを覚えていて、弊社スタッフとも「面白い水族館がある」と話していたんです。おとどちゃんの歯に衣着せぬ発言が話題を集めるXのアカウントもチェックしていて、偶然にも2024年末に水族館の隣県である香川県への出張が決まり「一度、直接足を運んで話を聞きたい」と思って、とっさに電話をかけました。

森香央里さん(以下、森):ほぼ、飛び込みのようなかたちでしたよね。覚えています。

山中:そうでした。電話したら、館長の秋澤(志名)さんが「この日だったらお会いできるかもしれません」とヒアリングの日を前向きに提案してくださって、実際にお会いした日に、森さんとも知り合いました。高知県の桂浜という土地柄もあり集客面で課題があるのかもしれないと想定していて、弊社の「Fanicon」を活用すれば全国にいるファンの方々とオンラインで新たに交流できる場所が生まれると直感で感じていました。

森:桂浜水族館は、2014年以降、現館長を筆頭に「なんか変わるで 桂浜水族館」「マイナスをプラスに」をスローガンに定め、企業改革を開始しました。その一環としてSNSを積極的に活用。Xの公式アカウントをおとどちゃんが担当するようになると、ありがたいことに「水族館公式らしからぬ発言が面白い」と話題に。次第にファンが増え、水族館業界でもかなりの発信力を持つようになりました。しかし一方で、認知されるにつれて過激な攻撃コメントや誹謗中傷も……。私たちだけではなく、ハマスイを愛してくださるファンのみなさんがコメントに傷つくのを見て「もうアカウントを閉じようか」という話も社内で出ていました。

――そこで、偶然にも「Fanicon」のお話が舞い込んできたんですね。

森:そうです。おとどちゃんも元気をなくし「ファンのみなさんが安心して楽しめる場所が必要」と話し合っていたタイミングでいただいたのが、クローズドなファンクラブを作れる「Fanicon」へのお誘いでした。山中さんとお会いして、実際にお話を聞きながら「求めているものが来た」と思っていました。

山中:まさに「今がタイミングだ」と思っていたので、そうおっしゃっていただけるとうれしいです。ハマスイのファンのみなさんは、熱量が強いと思うんです。ただ、オープンなSNSでは、その環境からどうしてもアンチによる心ないコメントも混ざってしまう。真に応援してくださるファンのみなさんだけが集う空間があれば、誰もが安心して楽しめるのではないかと思い「ファンクラブを作りませんか?」と提案させていただきました。

クローズドな環境では「家」「秘密基地」をコンセプトに

――2024年12月のファンクラブ開設以降、反響はいかがでしょう?

森:想像以上でした。当初の募集時点からたくさんの方々に参加していただけて、おとどちゃんがじかにファンのみなさんとふれあえる場所ができたのも、意味がありました。ファンクラブでは「家」「秘密基地」をコンセプトにしていて、ファンのみなさんにとっては「仲間同士で集まり、そっと『好き』を育める場所」として、活用していただいています。

山中:弊社としても、そうした空間をサポートさせていただくのが一番のやりがいですし、うれしいです。ファンの参加率も高くて、いいコミュニティですよね。

森:開設から数ヶ月とまだ始めたばかりなので、どのように活用するのかがベストかは、試行錯誤しながら運営を続けています。現在はタイムラインでの投稿を中心としていて、おとどちゃんとファンの方が1対1で交流できる「1on1トーク」や、おとどちゃんがイベント出演したときのライブ配信など、思いつく限りの企画を試しています。グルチャではおとどちゃんとマネージャーの掛け合いを見せたり、ほのぼのとした空間で、おとどちゃんも「ここが居場所」と喜んでいます(笑)。

――水族館が独自のファンクラブを開設するのはまだ少ない印象もありますが、その意義をどのように感じていますか?

森:桂浜水族館では2016年に公式Xのアカウントを開設して以降、飼育員にスポットをあてた投稿を多くしていました。当初は批判的な声も多かったですが、その姿勢を貫いたことで徐々に受け入れられるようになって、水族館をより身近に感じていただける前例になれたという自負があります。ただ、個人も企業SNSで自由に意見を発信できる時代で、投稿ひとつでバズれる一方、受け取っていただく方々の捉え方によって炎上する怖さも確かにあるとは思うんです。オープンではなく、クローズドな環境でファンのみなさんと交流を図るのは、施設はもちろん、支えてくださるすべての方々を守るために、これからもますます必要になってくるのではないかと考えています。

山中:ファンクラブは「タレントやアーティストのため」という先入観もありますが、実際は熱意あるファンの方々を抱えているのであれば、どの分野でも親和性があると考えています。水族館もまさしく根強いファンの方々がいる施設で、一度行ったら終わりではなく、好きになった何度も訪れたくなったり、そこにいる特定の生き物を推したくなったりと、根本は一緒ですよね。現地に行けない人たちが、オンラインで好きな水族館の日常を体感できるのであれば、繋がりを作り続けられるし、施設側もファン側もハッピーになれると信じています。「Fanicon」としても、新たに活用していただきたい分野ですね。

集客に結びつけるのではなく「繋がり」を一番大切に

――公式ファンクラブを通した、今後の展望は?

森:ずっと「どこにいても繋がっている」を大切に、ファンクラブを運営していきたいです。水族館に足を運んでいただけるならうれしいですが、それだけではなくて。ファンの方々の声を聞くと、心身の病を抱えて自宅から出られなかったり、何かしらの理由ですぐに遊びに来られなくとも「いつか行きたい」と思ってくださる方がいたり、事情はさまざまなんです。無理強いすることなく、ハマスイとの繋がりを持ち続けてくださるならうれしいですし、おとどちゃんをきっかけに笑顔になってくださるのが、一番です。

山中:集客ではなく「繋がり」を重視するというのは、水族館にとっては珍しい印象も受けました。

森:そうかもしれません。感覚派のおとどちゃんが公式Xでの発言を大事にしてきたし、言葉を介してファンのみなさんと繋がることを大切にしています。歯に衣着せぬ発言での炎上もあったんですが、それでも伝えることが大事だと、過去には著書でも伝えてきたので、私たちはその意思を尊重していきたいです。

山中:オープンな空間であってもクローズドな空間であっても、おとどちゃんの思いがハマスイの中心にあるんですね。

森:おとどちゃんが生まれて(2025年4月で)9年になりますが、ずっとたくさんのファンレターが届いています。常に段ボールいっぱいになるほどで、すべてに返信をするのは難しいようですが、ファンのみなさんと一緒に何かを作り上げるのを大事にしていて、私たちもその思いを大切にしています。ですから、公式ファンクラブもみんなで話し合いながら、何ができるかを探っていくのが一番いいと思っています。

山中:公式ファンクラブ開設から1ヶ月の打ち合わせ時点で、当時やりたいことをほぼ実現されていましたよね。

森:そうですね。スタッフ同士の雑談から生まれたアイデアをすぐに実現してきた環境もありますし、スピード感はあると思います。この先、公式ファンクラブではファンのみなさんの意見を伺うためのファンミーティングも開催する予定で、将来的には水族館のOBやOGの方々に登場していただければとも考えていますが、可能性は無限に広がりそうです。

取材・文/カネコシュウヘイ

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