シンガーソングライターの大森靖子さんを「共犯者」として、2018年に結成されたZOC。斬新なアプローチと前衛的なパフォーマンスで、日本のアイドルシーンを席巻しています。これまでのアイドルの枠にハマらない個性豊かなメンバーの自由な発言から、ネットでたびたび話題になることも。今回はそんな異色アイドルユニットのプロデューサー兼メンバーである大森靖子さんと、メンバーの中心的存在である藍染カレンさんにインタビュー。Faniconのコミュニティ「FC ZOC」と、他のSNSとのスタンスの違いやファンとの関係性について伺いました。
◾️ Faniconは自分たちだけの特別な基地です
──Faniconで「FC ZOC」を開設しようと思ったきっかけは?
大森靖子さん(以下、大森) 私はクラムボンが好きで、Faniconで「倶楽部 凡」に入会していたんです。だから、もともとFaniconのことは知っていたんですよね。今のSNSって、X(元Twitter)にしろInstagramにしろ、用意されているプラットホームに間借りするような形で宣伝していくというパターンが多いと思うんです。でも、Faniconは自分たちが基地を持っているような感覚で使えるというのがいいなと思いました。そもそも、アーティストのホームページって、かつてはそういった形だったと思うんですよね。掲示板があって、そこに他のバンドが書き込みするときは「この場所をお借りします」と挨拶をしてから宣伝したりとか。そういう文化がすごく好きだったんですけど、最近は違いますよね。
──たしかに。昔はアーティストがそれぞれ自分のホームページを持っていて、そこの掲示板でコミュニケーションをとっていましたね。
大森 Faniconの仕様は、そのときのカルチャーによく似ているなと感じて、自分がファンとして参加していたときから、好感を持っていたんです。それで、自分もこんな基地を作れたらいいなと思って、開設させていただきました。
──そう言っていただけると嬉しいです。ちなみに、他のSNSとFaniconでは、使い方などを分けていらっしゃいますか?
大森 私はよくSNS上で物議をかもしてしまう人間なので……(苦笑)。特にそういった騒ぎの最中は、SNSでは発言できないですよね。でも、私もいろいろなアーティストのファンだからわかるんですけど、やっぱり応援してくれてる人たちって、普通のことが聞きたいじゃないですか。「今日これ食べたよ」とか「こんな映画を観たよ」とか。でも、センシティブな状況になっているインターネットでは、そんな発言はしにくいですよね。「何食べてんだよ!」って言われることもあるし。
──騒ぎが盛り上がっているときは、何を書いても燃料になってしまいますからね……。
大森 一番ひどいときは、朝に「おはよう」って書いただけなのに、「お前に朝なんかこねえよ!」って言われたりして。そんなときには、Faniconがあってよかったなって思います。
藍染カレンさん(以下、藍染) 私は……そこまでの騒ぎにはなったことはないんですけど(笑)。まぁグループなんで……グループがちょっとバタバタしているなっていうときは、「やっぴー! カレンちゃむだよ♡」みたいなことをSNSで発言するタイミングじゃないなって自分で判断しています。そういうときでも、Faniconだったら気軽に発言できるのが本当にいいなと思っています。
大森 さすが、ちゃんとしてる!
藍染 あと、私は基本的にSNS不精というか。自分の写真を投稿したり、ライブに絶対来てほしいということを伝えたいとき以外は、そんなに発言をしないほうではあるんですよ。「カレンちゃんってかわいいなって思ってSNSでフォローしたけど、こんな人だったんだ……」なんて、知らない人に勝手にガッカリされるのがちょっと悲しいので。
──SNSはいろんな人が見ていますからね。
藍染 でも、私のことをちゃんと好きな人には、ゆるっとした日常のことも知っていてもらいたいなって思って。Faniconでそういったプライベートなことを発信することで、ファンになってくれた人たちが「表では言えないことを私たちには話してくれるんだ」と感じてくれたらいいなと思っています。
──Faniconでは、たとえば、どんなことを発信されているんですか?
藍染 もう「今日は煮物作ったよ」とか「筋肉痛がヤバイ」とかそんなレベル。でもそういう日常をグループチャットの機能でみんなと共有できるのが、なんかすごくいいなって。
──メンバーさん同士もやりとりされるんでしょうか?
藍染 はい! メンバー同士のやりとりもたまにあるし、ファン同士でも、新規の人に古参の人たちがアレコレ教えてあげるような流れもあります。全体的に雰囲気がよくて、こちらとしてもありがたいなと思っています。
大森 やっぱり他のSNSだと、ちょっと気になるな、これから好きになろうかなっていう人がZOCやメンバーのことを気にして見にきてくれますよね。それも本当にありがたいし、好きになったり嫌いになったりするのも自由だと思うんです。でも、Faniconはお金を払ってまで見に来てくれている人たちなので、安心感がありますよね。
◾️好きなタイミングで気軽に投稿できる場所があってよかった!
──どういうときにFaniconに投稿していますか?
藍染 私は、たとえばイベントとかライブがあるときはXやInstagramに投稿することが多いけど、Faniconなら深夜に1人でいるときに投稿しても大丈夫かな〜と思って、オフの日でも割と気軽に投稿してます。
大森 レスポンスもライトでいいよね。ポンポンってスタンプが返ってくる。「好きすぎて、どうやってレスポンスしたらいいかわからない」という人にも配慮されているなと思います。
──ちなみに、ほかのメンバーさんがどれくらい更新しているか、気になりますか?
大森 あんまり気にしてないよね? あ、でもたまに(大森靖子プロデュースアイドルの)MAPAと椿宝座の子たちがどれくらい更新しているんだろうと気になったりすることはあります。
藍染 私も! とはいえ、基本的にみんな好きなタイミングでやればいいと思っているよね。あ、でも、他のメンバーが頑張っていると、私ももうちょっと投稿しなきゃな、と思うことはあります。
◾️ ファンが支えてくれたおかげで、夢だった「展示会」を実現!
──Faniconでは、いろいろなファンイベントをやっていますよね。2月末に実施した展示会「ZOC MUSEUM supported by Fanicon」はいかがでしたか?
大森 今回の展示は、毛布アーティストの江頭誠さんにアートワークをお願いした『ハッピーエンド延長線』のスタジオを再現しました。私が江頭さんのファンで、やっと一緒にお仕事ができたので、その世界観をMVだけでなく、みなさんに直でお見せすることができたのが嬉しかったです。それに私、昔から展示会をするのが夢だったんですよ。Faniconさんにお声がけいただいたからこそ、実現することができました。感謝!
──江頭さんのアートもステージ衣装も本当にかわいいし、メンバーさんがファンの方と一緒に展示会をまわり、直接解説してくれるというサービスも最高でした。
大森 私たちはライブとか曲とか、具体的な形にならない「思い出」を売り物にして、それを受け取ってもらうという活動をずっとしていると思っていたんです。でも、その中でも衣装やグッズなど、形になっているものがあるんだということに改めて気づかされました。
藍染 でも、グッズって意外と自分たちは持っていなかったりするんですよね。
大森 そうそう! でも、昔から応援してくれているファンなら持っているかもしれないと思って、自分からファンの方にDMで連絡したんですよ。だいたいみんな推しメンがいるから、推しのグッズしか買わないじゃないですか。でも、昔から来てくれているファンの中に、全部セットでグッズを買ってくれている人が3人いるんです。その方たちが協力してくれたからこそ、こうやってたくさんのグッズを展示することができて、充実した内容になりました。
──では、ファンと一緒に作りあげた空間でもあったんですね。ファンから見ても、自分の夢が叶った瞬間だったのかもしれないですね。
大森 そう思ってくれたのなら、こちらも嬉しいですね。お互いに嬉しい!
◾️ 応援してくれるみんなのおかげで「青春」を取り戻せる気がする
──以前は、ファンと一緒にクルーズ船に乗るイベントもありましたよね?
藍染 アレは超新鮮でした。去年の夏に3回やったのかな? 船の上で歌ったり、ごはんを一緒に食べたりするんですが、1回に10人くらいしか乗れないので、すごく特別感があるというか。なんだかデートみたいで楽しかったです。船酔いしてしまった回もあるんですが、それも含めていい思い出になりました。
──今後、やってみたいイベントはありますか?
藍染 本当に楽しいことをいっぱいさせてもらっているから、これ以上何かあるのかな?って。
大森 ねぇ、本当にそう思う。あ、そうだ、私のソロのイベントでは、甘いものを食べるだけの会とか、お泊まり会とかもやっているんですけど、それをZOCでもやりたいな。お泊まり会では、ファンの部屋にひたすら乱入するという……(笑)。
藍染 それ面白そう!
大森 規模感の大きめな旅行、ツアーみたいなことができたら、すごく楽しそうだなって思います。
藍染 楽しい場所にみんなで行って、ライブもできて、音楽も楽しんでもらえたら最高ですね。
大森 私たちって、そんなに陽気なタイプじゃないので、学生くらいのときにそういう思い出をあまり作ってこられなかったんです。だから今、自分が信頼しているファンの方たちと楽しい思い出がいっぱい作れたらいいなって思っているのかも。青春を取り戻している、みたいな。
藍染 ですね。ファンとだったら大勢でも楽しく遊べる!
──ファンとの距離感が近くて素敵ですね。ちなみに、ファンとコミュニケーションするときは、どんなことを大切にしていますか?
大森 大切にか……。
藍染 そう聞かれると、難しいですね。
大森 他の人も経験あるんじゃないかなと思うのですが、普通の友達のことすら、疑ってしまうタイミングもあるんですよ。この年までずっと音楽の仕事しかやってないので、音楽で出会った人しか友達じゃないと感じたりすることもあります。でも、ファンとは「音楽」という共通言語があるから、手を握りあえる。信頼感がすごくあると思っているんです。
藍染 何回もイベントやライブに来てくれるようになると、すごくフランクな感じで接することができる人も自然と増えていくんです。でも、そういう関係になれるまで来てくださる人がいるなんて逆にすごいことですよね。そこまで私たちにたくさんの愛情を注いできてくれたからこそ、この関係性ができているんだなってことを日々噛み締めています。だから、月並みな言葉になってしまうけど、「感謝の気持ちを忘れない」ということは言えますね。ずっと前から来てくれている人だけでなく、初めて来てくれた人にも同じくらい感謝しています。
大森 ファンとの理想の距離感って人によって色々だと思うし、ファンから見てもアーティストとの理想の距離感があるんだと思います。Faniconは、自分でその理想の距離感を選択して、接していけるコンテンツだと思うので、そこがすごく気に入っています。
藍染 同じグループのメンバーでも、その人によって使い方を変えることができますよね。どんな人でも、自分にあったやり方が見つけられる気がします。
──そんなに気に入っていただけて、本当に嬉しいです。本日はありがとうございました!
取材・文/上村絵美